『5月1日(月)』 第二八一話 『嵐の前の静けさに似て…』(5.1.月) 『雪原地帯』永春の街『ヴァルキ』 での戦いは、傷付いた『レィニイ』 『竹丸』に代わり、実戦で再び “能力”を覚醒させ、完全にそれに目覚めた 『三浦 洋子』の力によって 終止符が打たれた...『幻魔』 『死の侵犯』【ラル】は断末魔の 雄叫びを上げながら空中で歪みに沈む... 「はぁはぁはぁ....“ミスルーのナイフ”には ...吸収して養分にするやり方と 空間を斬り裂いて消滅させるって言う 付属能力があるのさ...。」 洋子はナイフを手にしながら上空を 見上げ呟き...傷付いた彼らの下へと向かう 『カッッカランアッッカン!!!』 空から芝生面に何かが舞い落ちた...それは、 ラルが右目にはめ込んでいた 『鋼鉄の瞳』【ギガ・スコープ】と 呼ばれる赤い義眼だった [役立たず...が...。] 彼女がその場から過ぎ去った後、一人の 人物がそれを拾い上げ、街から 姿を消した....。 「....“支柱”の柱が崩れたーですね。 どうなさるおつもりですか? 『偽りの魂』【レイヴィンド】様?」 『...情報が....早い...です...ね...。』 「某が向かいましょう...。」 「いや、その必要はないっよ? 今度はぼくちんがイクからねぇ〜!!!」 青白い炎に提案する幻魔の横から 別の幻魔が煙と共に姿を現した... 「...『銀色の煙』【スネイル・ゴースト】殿 が、...某は答えが出せませぬー、故 レイヴィンド様に従います...。」 『...では....行く....は、..... スネイル・ゴースト....任せます....。 気を抜かずに.....行く....のです....よ。』 レイヴィンドは、スネイル・ゴーストに 命ずる...すると、幻魔は 「解ったーです、へへっそれじゃあ行って きまーすっネッ!!」 言いながら煙の様に再びその場から 姿を掻き消してしまった.... 「.............。」 『心配....しなくて....イイ.....。 あの子に......は、....監視役として....。 先に向かわせてアル....もの...がいる...。』 青白い炎は不意に目の前の幻魔に囁く....。 「げほっげほっ....やったんだね...。 本当に凄いよ...ヨー...。」 廃屋から救出された竹丸は、 傷の手当を受けながら洋子に声を掛けた 「....良くやってくれました....。 ふふっ、信じていて良かった...。」 レィニイのが比較的傷は浅い方だったのだが、 竹丸の方は、完全に重体で、今にも 死んでもおかしくはない状態だった為、 洋子はどうにか元気付けようとする... 「竹丸...しっかりしろよ? 折角ぼくも闘える様になったんだ...。 だから...なっ!?!....。」 街の医師の手で安定値は取り戻したものの 2人共、入院し戦闘不能に陥っている...そんな中 再び迫り来ようとしている幻魔の影.... 辛く厳しい彼女の闘いはこの時から、 始まったのだ....。 『5月2日(火)』 第二八二話 『新たなる侵入者!!』(5.2.火) 『死の侵犯』【ラル】との死闘から 早くも3日が過ぎ去った.... 「...ふぅ、彼らもーーーーっ もう取り合えずは安心ですねぇ〜〜〜。」 街の統治者『メルド』は気の抜けた 声で『洋子』に語り掛けた...すると、 「はぁ、相変わらず抜けた喋りだなぁ。 もっとさぁ、しっかりした方がイイよ?」 彼女は言いながら出されたお茶を飲み干した 「解りましたー、どうにかしましょう。 それにしても、あの状況下で良くあんな “能力”を覚醒させましたねーーー?」 おぃおぃ、直ってないじゃん!!っと 突っ込みたいのを抑えつつ洋子は 「えっ!?...あっあれ....。 メルドが自信を...ぼくに自信を 持てって言ってくれたからかも....。 とにかく有り難う、ぼくはあの言葉で あの雪崩の前の出来事をはっきりと思い出し “ナイフ”を産み出す事が出来たんだもん。」 照れながらメルドに御礼をする...。 「『スネイル・ピアザー』【飛び槍】の 具現が旨く....痛っ!?!....まだ 出来ないみたい....。」 『竹丸』はベットの上で同じ部屋で 静養している『レィニイ』に話し掛けつつ、 能力を無理に発現させようとする...が、 「無理をしない方がイイですよ? 私よりも貴方の方が傷が酷いし...。 安定しているとは言っても...むしろ 戦闘不能は免れないと思いますから...。」 それに失敗した上に 彼にそう言われ、下をうつ向き少し 落ち込んでしまう... 「....あいつの拳は僕の急所を確実に 狙って放たれたモノだった...。 生きているだけでも幸運てことでしょ? 解ってる...でも、闘えないなら 死んでいたのと変わらないんじゃない... かなぁ、ねぇレィニイ?」 竹丸の言葉に返事をどう返せばイイのか 解らず彼は戸惑う、が...そこへーーー 『がちゃっっ!!!』 「おっス!!!2人共!!!! 元気そうでなにより!!!」 洋子が入った事で場が少し和らいだ...。 「そっか....それで悩んでるんだ....。」 部屋の中では先の話しの続きが 行われていた... 「僕はもう、冒険者じゃないんだね...。」 竹丸はまだ小学生...“デジタルモンスター”の 様な冒険に憧れていたからこそ、 ここまで闘ってこれていた...だが、それが 不可能に近くなってしまった為、 彼の心は何かを失おうとしていた... 「...大丈夫...竹丸なら復活するさ? 主人公ならこの程度で諦めちゃダメだぜ?」 そんな竹丸に彼女は勇気付けようとする...。 「...“煙”の行動は幼稚すぎる...。 我らが先に先攻して叩く...いいな?」 「はぃ...。」 その頃、桟橋を通ること無く 難なく能力で通り抜けた『幻魔』達は 悠々と街へと侵入して行った....。 『5月3日(水)』 第二八三話 『銀色の煙〜それは唐突に〜』(5.3.水) 『死の侵犯』【ラル】から受けた傷が元で 『竹丸』はこれから『幻魔』と闘ってゆくのが ほぼ不可能と『レィニイ』に宣告される... どうにか勇気付けようとする『洋子』の 奮闘も空しく彼は心から何かを失ってしまう... 「...嘘でしょ!?!....なんで!?! どうして僕の“力”が....生命の位置も 感じる事も....嘘だ....僕のーーーぅああ!!」 その結果、彼“能力”『生命探知』 【ラピッシュ・ポイント】は、 『スネイル・ピアザー』【飛び槍】と共に 発動すらしなくなってしまった.... それがまた彼を追い詰める結果となる... 「....私が軽率でした...すいません...。 『メルド』様、洋子様....。」 塞ぎ篭ってしまった竹丸は、死んだように 口も誰ともきかず、只... 窓の外をジッと眺め続けていた... 「キミのせいじゃないよ...。 どちらにしても、竹丸には言わなきゃ イケない事だったんだ...。」 「そうですねーーーー。 っと、私も本業にそろそろ戻りますねーー。」 メルドは横のテントで占いを開始した レィニイは館で休み、洋子は街へと 気分転換に出かけて行った....。 「『スパイラル・ミント』【螺旋の埋葬】!」 『ばしゅるるるっっ!!!』 レィニイは自分の言葉で竹丸が落ち込んで しまい心を閉ざしてしまった事を 物凄く悔いていた.... 「....はぁはぁはぁ....。」 能力の発動の度に疼く体内の傷... それに耐えながら、彼は一刻も早く 体調を取り戻そうと必死になる... 『バサァァッッッ!!!!』 「あの〜〜〜すいません?」 占いのテントに早速客が姿を現す 「はい、なんでしょうーーーーか?」 「今、開いてますかぁ〜〜〜?」 何故かモード系の服装をしている、その客は そう彼に訪ねると、頷いたメルドを見て 席へとゆっくり着く....だが、 「それでは何をーーーーーぎゅわっ!?!!」 メルドが目の前の客に声を掛けた、 …次の瞬間!!!… 『プキュッッッン!!!!』 それを遮るように、奇妙な音が鳴り響き と、同時にメルドは悲鳴にも似た 叫び声を上げながら後ろへ倒れた!!! 「うひゃぁ!こぃつは凄いねぇ〜。 キミかなりの“メタファー”の持ち主 だね〜やっぱ統治者だけあるよ?」 「おま...ぇは....なに...もの...?!!」 「ぼくちんは彼の方の“支柱”の一人 ...『銀色の煙』【スネイル・ゴースト】さ...。 この街を浄化しに来たよ?」 口から何かを取り出され苦しむメルドへ その客を装っていた幻魔はそう言い放った...。 「『鋼鉄の瞳』【ギガ・スコープ】は回収 してあるんだよな?」 「はぃ、ここに....『雪原の雌豹』 【レキ】様にデーターは届いた筈です...。」 2人は街で一番人々が賑わう場所に姿を 現し、唐突に破壊を始めようとしていた...しかし そこには、買い物をしている洋子の姿も...。 『5月4日(木)』 第二八六話 『銀色の煙〜パープルヘイズ〜』(5.4.木) 『ヴァルキ』に暗雲が再び立ち込める...!! 頼みの綱の『竹丸』が心を塞いでしまった 為に探知能力が機能しなくなっていた事... 更に気の緩みから来る過信が彼の占い... 『時滑り』【メイン・アウト】実行の遅さに 繋がり、それが直ぐに仇となり彼らを襲う!!! “支柱”と呼ばれる『幻魔』の一人が 統治者『メルド』を強襲!!更に別の 場所でも謎の複数の敵が街を破壊に掛かる... 「どうなさったんですか?!!!」 直ぐに悲鳴を聞き駆けつけた『レィニイ』が 見たモノは魂を抜かれた様になり 椅子に持たれるメルドの哀れな姿だった... 『ばきゃっっ!!!』 「へーーーっ君ってぼくちんの出現場所が 解ったんだぁ〜凄いね?誉めてあげるよ!!」 テントの外に何かの気配を感じた 彼は即座に何もない空間に向かい打撃を 放つ、するとそこには銀色の煙と共に メルドを襲った敵が陽炎の様に姿を現す!!! 「『植樹』ねぇ...あの力馬鹿が 支柱ってのも、かなりうけるな? 『雪原の雌豹』【レキ】様も大変だよなぁ?」 「口が過ぎません?旨く乗せやすかった って事だと思いますよ?」 『鋼鉄の瞳』【ギガ・スコープ】を片手に お手玉の様にして遊ぶ一人は仲間の 言葉を戒め、風刺し.... 「...ふふっ、殺りたくてしょうがないわけだ?」 人混みの中で瞳を鋭く光らせた... 「えぇ、もう始めますよ?『強欲なトド』 【ジニア】さん....。」 更に舌嘗めズリを始めると、同時に 側にいた住民の喉を自慢の尻尾で斬り裂いた 幻魔は溢れる鮮血を浴びて思わずにやける... 「ずるいなぁ...あっと、あいつのおもり ....まぁ、いい、一気にひゃははははは!!!」 すると、その仲間も通りすがりの住民を 素手で握りつぶし抹殺した!! ーそして惨劇は再び幕を開けた!!!ー 「なっ!?なにっ!?!どうした!!」 悲鳴を聴き思わず『洋子』は呟き、叫びながら 雑踏の中を走り抜け、何かが起きている 現場へと向かう...すると、そこで彼女はーーー 「くくっ住人共ぉ!良く聞け!!! 今日からここは我らが支配下におかれた!!!」 「余計な抵抗はやめた方がいいですよ? なんせ、貴方達は全て無条件で皆殺しですから。」 2体の幻魔...いや、同じ能力者の人間達が 住民達を恥辱しながら殺し続けている...っと 言う凄惨な光景を目の当たりにする...。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |