『5月9日(火)』 第二八九話 『銀色の煙〜創作造物〜』(5.9.火) 『雪原地帯』永春の街『ヴァルキ』での 新たな戦闘が始まった...統治者である 『メルド』と『レィニイ』は、 “支柱”の一人『銀色の煙』 【スネイル・ゴースト】前にあっけなく 破れ去り、彼らを倒した『幻魔』は、 上空から何かを散布する...その同時刻、 『三浦 洋子』は、街中で2人組の 幻魔『強欲なトド』【ジニア】と 狐の仮面を被る者を相手にし、 苦戦を強いられていた... [ぐちゃってなれぇっっ!!!] ジニアの巨大な足が起き上がろうと する彼女を捕らえる....だが、 …その瞬間!!!… 『バギュォオオオッッッン!!!』 物凄い銃声が周囲に響き渡りーーー 「“バッシュ・ザ・スタンピード”... ってあんた知ってる?」 [おぎょっっ!?!] 『どさぁあっっ!!!』 それと共にジニアは元のヒトの姿に 戻り、呻き声を上げながら真後ろに倒れた!!! 「なにぃ....ジニアさんのブ厚い皮を 突き破る砲撃だって!?! (あの子は何も持っていなかったハズ...!?!)」 それを見て思わず仲間は叫び、困惑する!! 「...うぎぃぃぁぁっっ!?! 俺様の肩がぁっっ....いてぇいてぇよぉ!?!」 何かに打ち抜かれた痛みに身を 小さくして泣き喚くジニアへ 完全に立ち上がった少女は手にした 銀色に輝く銃口を向けた...。 「やっぱりね...命を懸けた価値が あったとぼくは確信したよ....。 これがぼくの“能力”(ちから)...。 どうする?命乞いでもするなら助けーーー」 『じゅぱぱぱぱっっ!!!』 「仲間がいるのを忘れてない?」 引き金に手を掛けていた彼女へ 躊躇せずに狐の仮面を被る幻魔は 手にした幾重にも枝分かれしたムチを 振るい、牽制に攻撃を放つ!!! 「...そうかもね?」 ムカッと彼女はきたのか、言葉を 返すと同時に迎撃に攻撃を仕掛けようと する...が、その瞬間...上空から 何かが舞い降りて来たのでそれに一瞬 意識を奪われ、手を止めた... 「....!?!!?....。 (くっ!!早過ぎる...いやこっちが遅かった...。 彼も支柱だ...既に統治者を打ち倒した と、言う事か...。)」 もう一人もそれに気付き、顔色を 瞬時に変え、彼女に提案するーーー 「行くぞ!!!」 「ちょっと待って!!!我々は、もう 撤退します、ジニアさんが負けたと なると、もう打つ手がないのでね!!!」 「えっ!?!」 洋子が返事を返すか否かで既に 行動を開始していた彼は、いつの間にか ジニアを背にその場から姿を消した...。 「『偽りの魂』【レイヴィンド】様〜〜〜 これでこの街も支配下に置かれますねぇ〜〜 ふふっ、ぼくちんのお蔭でね....。」 彼がドームの上空から撒き散らして いるものの正体それは...彼の能力が 生み出した危険な物質... 「なっ、何なんだ?...まぁいい。 これでぼくも....!?!」 洋子が辺りを見回す...すると、さっきまで ピンピンしていた住人達が悲鳴と共に 次々にバタっバタっ!!ッと 音を立てて、その場に倒れてゆく様が見えた...。 『5月10日(水)』 第二九〇話 『銀色の煙〜メタファー〜』(5.10.水) 『強欲なトド』【ジニア】とその仲間の 『幻魔』が逃げ去った後、妙な出来事が 彼女を襲う...それはーーー 「...どっどうしたの皆...!?! あいつらが残していったモノ...いいや 違う...それなら直ぐに住人達がこうなって いた...じゃあ..一体...!?!!」 今の今まで生命があった筈の住民達から 生気が唐突に抜けて廃人と化して行く... 彼女は、呟きながらふと上空を見上げた... 「...まさか...!!!」 すると、絶えずきらめく銀色の粒子が 街全体に何者かによって散布されて いるのが見えた... 「はぁはぁはぁ....ったぁく無茶しやがる ...俺もあの銃でヤバメだったケドよぉ アレ...あの物質はもっとやばいぜ!?」 ジニアは吹雪の吹き荒れる雪原で 隣に寄り添う仲間に呟く... 「えぇ、しかも多分...任務を終えた...から 即実行に移したんでしょう...。 『銀色の煙』【スネイル・ゴースト】... “支柱”の中でも恐ろしい力を持ってますね...。」 狐の仮面を被る幻魔は、ジニアの 傷に手を当てるとソレを塞いでしまう... 「お前がいなかったら...やばかった...。 有り難よぉ....。」 「いぇ当然の事を行ったまで...。」 彼らは少し時間を置いた後、再びジニアの “能力”を使用し中へと入って行った...。 「...げほっ!?!」 やっぱりだ!!!...あいつらは これに脅えて逃げて行ったんだ...!! 「...この絹なら...。」 ぼくは、市場に出されていた布をパクった ...って非常時だし、しょうがないよね? 「...あれは...『竹丸』がいる 療養所の方面!?!」 冗談を言っている場合じゃなかった... 竹丸が休んでいる建物の丁度真上から 変な幻魔は、この銀の粉をバラ撒いて いるのが見えた...きっとあの建物が 街の中心部に位置しているから ...あの変なのはあそこを選んだんだ!!! 『ズサササササッッ!!!!』 ぼくは走った、全力疾走で... 心を閉ざしてあれから笑みをまったく 見せなくなってしまった竹丸の下にーーー 「僕、いつも家に帰って一人で...。 でもこの世界には『ヨー』とかみんなが いるから...もう寂しくないんだーッ!」 あんなに...まだ小さいのに無理して生きて いる...竹丸の姿が目に浮かび、何故か ぼくの頬から水の滴がこぼれ落ちた... 「...感傷に浸っている...時じゃない!!」 ぼくはソレを振り切るように走る...。 「くくっ...まだ動いている奴がいるんだ〜。 感がイイと言うか...不幸と言うか...? おや...この建物にもまだ....。」 スネイル・ゴーストは街全体に 物質が蔓延した事を確認すると、そう 呟きながら建物の頂上へと降り立ち、それと 同時に彼女も建物の中へと入って行った!!! 『5月11日(木)』 第二九一話 『銀色の煙〜本当の恐怖〜』(5.11.木) 『洋子』が療養所の建物に入ると 「...うそでしょ?...建物の中にまで 侵食している...?!!『竹丸』!!!」 既に『銀色の煙』【スネイル・ゴースト】が 放った銀色の物質が内部を侵食し それがベットの上の住人にも降り注いでいた... 「...下の階でこれだと....。」 彼女は最悪を想定しながら上へと 階段を駆け上がる...そして、仲間が 静養している筈の部屋の扉を勢い良く 開け放った...が、そこにはーーー 『がぎゃっっ!!!』 「竹丸っっっっ!!!!!!」 さっきまでヒトが居た気配を感じる、も... 彼の姿を確認する事は出来なかった... 「....ぅう...誰か....。」 不意に部屋から女性の声が響く... 「大丈夫か?!」 「...はぁはぁはぁ..貴方は...洋子さん よね?,,,,彼なら屋上にーーーー」 倒れていた獣人の女医を見付けた 洋子は彼女からその言葉を聞くやいなや ベットの上に女医を乗せ即座に部屋を出た!! 「『スネイル・ピアザー』【飛び槍】 ーーーーーーっっ......なんで!!?? なんで出てくれないんだよぉ!!!」 竹丸の左腕からは遂に武器の具象化までもが 解かれていた...もう、そこまで発動 不能に陥ってしまったのか... 「ふーん...この前とはキミ少し 違うんだねぇ?...前のキミなら楽しめる、と 思ったのに...折角の時間が無駄だよ。」 それを見たスネイル・ゴーストは、残念 そうな顔をすると同時に彼を哀れむ 「...っっく...僕は....。」 「まぁいいや、“メタファー”を 貰えればぼくちんは満足だしね〜。」 そして、竹丸から『レィニイ』達同様に 何かを取り出し奪おうと迫る...が、 …その瞬間!!!… 『ズギャッッッン!!!!』 鼓膜を突き抜くほどの物凄い銃声が ドーム一帯に響き渡りーーー 「ぼくの彼氏(?)に手を出そうなんて...。 嘗めた真似、してくれるじゃないか?」 「へーっ...あの脅えてた、彼女は 覚醒したのかい?...ふふっ、じゃあキミの メタファーから頂くとするよ?」 同時に竹丸を守らんと、洋子が姿を現した!!! 「確実に貫いたのに...お前の身体 どうなっていやがるんだよ...。」 洋子が放った弾丸は確実に敵の 身体を貫き通していたの....だが、 「それは秘密Death。」 「...止めろ、その言い方。」 少しも傷を負わせる事が出来なかった... 「...『ヴァージン・キラー』【銀の鼓動】 あの銀粉を吸い込まなかったのは誉めてあげる。 でも逆にそれが不幸かもね?」 『ぱちぃぃっっん!!!』 『幻魔』はそう呟くと指を軽く鳴らした...。 『5月12日(金)』 第二九二話 『銀色の煙〜サヴァイヴ〜』(5.12.金) 『ヴァルキ』の街全体に指の音音(ねおん)が 鳴り響く...それは起動の合図... 「ふふっ...ぼくちんまで攻撃が届く 届かないの問題じゃないよ〜...。 これからキミ達の敵はーーー全てだからねぇ!!」 『銀色の煙』【スネイル・ゴースト】は そう2人に言い放つと...ゆっくりと建物下へと 降下して行った... 「『竹丸』大丈夫!?!」 「...『ヨー』...僕は本当にもう 駄目みたいだ...『生命探知』 【ラピッシュ・ポイント】すら発動出来な かった...いつもの僕なら敵の存在くらい 直ぐにキャッチ出来るのに...。」 竹丸が失意に陥っている中でも闘いは 続く...彼女はただ、彼を暫く抱き締めると 「...竹丸...ぼくはキミを信じてる....。」 そう耳元で囁き、敵を追う!!! 「はぁはぁはぁはぁ...。」 階段を駆け降り、療養所から出て スネイル・ゴーストを追おうとする 洋子に不審な影が迫る...それはーーー 「...なんで...何で住人達がーーーー!?!」 “メタファー”と呼ばれる何かを抜かれたーーー 「あぁぁぁっ!!!!」 「まぎぃいいいいっっ!!!」 街の住人達だった!!!! 「...傷つけるわけにはいかない....。 かと言って彼らは確実にぼくを殺す気...。 いや、本能的に攻撃して来る...。 ある意味ハードなバイオハザード....。 (っと冗談をかましている場合じゃなかった...。)」 攻撃するワケにもいかず少女は戸惑う、も とにかく逃げきる事を前提に走り続け どうにか療養所を脱出した!!! 「くくっ...どう?ぼくちんを追うのも〜 簡単じゃないでしょ?でもね、本当の 恐怖とかってのはまだまだ...だよ?」 不意に目の前に姿を現した『幻魔』は、 愉しそうに洋子に向かい呟く...。 「『雪原の雌豹』【レキ】様への 報告はひとまずお預けだな....。」 「そうですね、ふぅむ....街人達の 操りが終了しているとこを見ると....。 散布も終えたようです、行いましょうか? 灯し火の発動???」 2人の幻魔は、操られた人々がみさかえなしに 自分達に襲いかかって来るのを跳ね除けながら 先へと進んで行った...。 ー同時刻ー 「....う〜寒い!!!」 「...『勇二』でも寒いの?」 「それどう言う意味さッ!!!」 「はは...あっ!?ほら街が見えたよぉ〜!」 雪原をさ迷っていたアノ2人も 『ヴァルキ』の街に辿り着く!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |