『7月9日(日)』 第三五一話 『窮地・きゅうち』(7.9.日) “支柱”の1人『最果ての白熊』 【サイレント・ベアー】が仕組んだ、ある 病原菌のコンボは“絶対零度の灼熱”を打ち壊し 先の牙城“眠れる雪の城”へと辿り着いた 一行の内、3人を既に始末し、戦闘不能へと 追い込んでいた....そして、唯一感染して いない『上原 勇二』だけを自らの手で 始末しようと大広間にて彼を追い詰める!! 「あはっはっ!そんなにパニックに なっちゃってたら、ほら僕の 攻撃とか避けらんないよ?」 『ジュパァッッッッン!!!』 「ひぃっ!?!...ぼっボク1人で... だってこの子を倒して先に進んでも... むっ無理だよぉ!!!...1人じゃ 何も出来ない...出来るわけないよぉ...。」 辛うじて避けたその攻撃は彼が背にしていた氷柱を 薙ぎ倒し粉々に砕いた... 「くすすっ〜...キミさぁ〜やる気 失せるから、そぉ言う他力本願なの 止めて欲しいなぁ〜、っと次は 外さないけど?...どうすんの? “メタファー”取り返しに来た んじゃないの〜?」 不甲斐ない勇二の姿を見て呆れて 一撃目を様子見にわざと外した少年は、徐に 再びプリズムの様に七色に輝く細身の 爪が付いた片手を向けた...。 「ぐっ...ゆう....じぃ!!!! (...やっぱりだ...直接感染するには あの中じゃ接触しか有り得ない...。 勇二はソノ性格で助かった...けど このままじゃヤクイ...全滅する!!!)」 『光助』はこのままでは まずいと心で何度も叫ぶが...先に感染していた 『洋子』や『竹丸』の様に 身動きが取れずに冷たい床に倒れたまま どうにもならない歯がゆさを感じていた... 「ネコの爪〜の良く切れるのみたいな〜 奴だけどね、結構、強いんだよね〜。 じゃあ、もうサヨナラかなぁ?」 『しゅぱぱぱぱぱっぁぁっっん!!!』 徐に振り上げた右腕を勢い良く 振り下げ、勇二の身体を切り裂こうと するサイレント・ベアーだった...が、 「...でも...此処でボクが諦めて しまったら...光助達はほんとぉに... 死んじゃうんだ...そんなのは.... もっといやだよっっ!!!」 「へぇ〜、それがキミの武器〜 ん〜確か『魂狐』【ムツキ】『蛇牙鞭』 【シャガベン】〜だったっけ?あれを 破ったんでしょ?凄いね、それなら 僕とも闘えるよねぇ?!」 その爪に何かが絡み付き、動きを 封じられた事で攻撃は不発に終わる...。 「....はぁはぁはぁはぁ...『白金の鞭』 【レイジング・ビュート】でどうにか...。 でも、攻撃を防ぐので手一杯だし... しかも、絶対...このまま病気は 直らない...どうしよぉ...もう...。」 「あははっ、覚悟を決めたんだねぇ! じゃあお望み通りに引き裂いてあげるよ!!」 『シュカァッッン!!!』 絶望的な状況に流され冷静さを 失った勇二を死が誘う...だが、鋭い爪が 彼に襲いかかった、 …その瞬間!!!… 「何事も諦めちゃダメさね。」 白い布状の防寒具を頭からすっぽりと 被った何者かが突然!!その姿を現し 勇二を少年の歯牙から救う!!! 『7月10日(月)』 第三五二話 『井原 知也…推参!!』(7.10.月) 『偽りの魂』【レイヴィンド】の牙城 “絶対零度の灼熱”を越えた先... “眠れる雪の城”での初戦、一気に仲間を 戦闘不能にされ失った事で戦意を喪失した 『勇二』へ『最果ての白熊』 【サイレント・ベアー】の歯牙が襲う...が!! 「キミ、誰?」 『シュタァッン!!』 「あぁ、オレ、それは....。 秘密です。(ゼロス風に。)」 唐突に現れた少年が勇二の腕を引き、 攻撃軌道から身体を逸らせた事で それを難なく回避させていた!! 「...あっ...ボク...生きて... あれ!?...この匂い...ボクの知ってる? キミは....誰???」 閉じた瞳を押し開け、側の白い布を頭から被った 少年の声や匂いだけで勇二は、誰だが知らない 彼が敵ではないと、何故か認識していた... それどころか『光助』の面影まで感じさせる 少年に好感まで抱く... 「信じてたぜ?戻って来るってさ。 こいつらの心配ならすんな、今はオレが居る それだけで十分な筈さね? もう一人じゃないんだからね。」 少年は法衣を纏ったまま勇二を場に残し 即座にサイレント・ベアーへと 立ち向かってゆく!! 「あはっはっまぁいいや、キミが 誰でアレ、僕の邪魔をするなら 敵なんだからね、丁度良かったよ。 あんなリパーゼになる様な奴じゃぁ、 僕の相手にはなんないーーー」 『めきゃぁっっ!!!』 「...結構、反応早いんだな。」 お喋りの途中にも関わらず定石を無視して 攻撃を仕掛けて来た少年にサイレント・ベアーは 「そう言うのって悪役が普通しない?」 少し驚くが、紙一重で攻撃をかわし 後ろへと回り込みーーー 『しゅかかかっっん!!!』 「猫みたいだな。」 「へへっ『惨轍爪』【ざんてつそう】を こんなに〜簡単に後ろから避けるなんて...。 キミ、忍者の部類?」 振り向き様の回転攻撃を繰り出す、しかし その攻撃は少年の頭を掠め外れた!!! 「ふふっ、お互い様かな? 折角気に入っていた頭のとこに傷が 出来た...また縫って貰らわなきゃな...。」 切れ目からのぞかせた、彼の顔は 紛れもなく.... 「ふ〜ん、まぁいいや僕はキミを 少し認めるよ。 僕は“支柱”サイレント・ベアー、 さぁ〜名乗ってよ、それでキミは?」 「『知也』...“井原 知也”だ。」 1人この地を訪れる羽目になった 井原 知也だった!! 「...や...とも....。 (トモ...やっぱりあの声はトモだったのか! ...良かった、間に合ったんだな..!!)」 床に倒れながらも声だけで、 一番に彼を認知していた光助は 自分達が舞い戻ったのは無駄じゃなかった!! っと、改めて知り...そして希望を今、 手にしたのだと胸に感じる!! 『7月11日(火)』 第三五三話 『CAT FIGHT』(7.11.火) 「あのヒトは一体....なんでだろう? だれかと同じ感じがした...『光助』や... 『マボ』???」 その場を『知也』に任せ『勇二』は、 倒れた光助を何とか上向きに起こし 氷柱に持たれさせて座らせた、同様に 『竹丸』『洋子』の2人も座らせると、 彼らの闘いに食い入る... 「ふ〜ん、トモヤってんだぁ〜。 どう?キミも“支柱”やんない? 今ならスカウトするよ?」 突然の誘いだったが勿論、 「冗談言うなよ?オレがなんで お前達負け犬に手を貸さなきゃ なんないんだ?」 「負け犬?人間を越えてやったのにかい? 絶望すら無くなるんだよ? こうやって強くなればぁねぇ〜!!」 「全て諦めて絶望している暇があんなら さっさと動いて希望に変えちまえば イイだけだぜ?それすら出来ねぇで 何かにスガリしかも...ふっ、何を言っても 無駄なんだよな? なら邪魔するなら消す、ただそれだけだ。」 トモは、それを断固拒否した...。 『ボギャァッッン!!!』 『最果ての白熊』【サイレント・ベアー】は、 トモの言葉を聞き既に攻撃を放っていた!! 「交渉決裂ってやつだねぇ...。 僕、そう言う自信過剰な馬鹿が 一番嫌いなんだぁ...後悔しても もう遅いんだからね〜。」 「ふっ、どっちが?」 しかし、爪による迎撃を避けた トモはその軌道で塞がれた死角から 徐に打撃を放つ!!...が、 『どぎゃっっっ!!!』 「元々、僕...左利きなんだよねぇ。 あははっ、トモぉ...すっごく愉しいよぉ 残念だなぁ、殺すの!!!....かっとべぇ 100%のぉおおーーー『形成体破壊牙』 【オーガニスタ・スプラッシャー】!!!」 見切り、逆に併せて左腕から繰り出された 技と激突し、弾き返されてしまう!!...だが、 「わりぃ、オレ。 この上を狙ったもんがあるさね。」 弾かれ天井まで吹っ飛ばされた トモは、逆にその反動を利用し、 一瞬で身体を反転させると、同時に 天井を蹴り、更に加速して サイレント・ベアーへ襲いかかる!!! 「なっ?!!!」 勝ち誇って一瞬油断したサイレント・ベアーは 反応が遅れ、逃げ道をなくしーーー 「名ずけて『散蹴凰来撃』ッッ!!!」 『スギャギャギャギャッッン!!!』 「あべっぅぇつ!?!!」 もろにそれを頭部に喰らい 氷で出来た床を削りながら同じく 氷で出来た壁へと吹っ飛ばされて行く!!! 『7月12日(水)』 第三五四話 『こんな筈じゃなかった…』(7.12.水) 「凄い!!!あのヒトたった一人で “支柱”の“幻魔人”になっちゃった子を 倒しちゃった!!!」 吹っ飛ばされた少年を見て、あれだけの 攻防を繰り返しながらも、息一つ乱さない 『知也』を賞賛した『勇二』だった...が、 [ひゅはぁぁっっっっっ!!!!! よぉくもぉ、僕を本気にさせてくれてねぇっっ!! ひさびさぁだよぉ!!!この姿に なるのさぁぁっ!!!! 『キア・フィード』を浄化した時 以来だねぇ....!!!!] 「...キア・フィードを襲ったのは貴様か...。 貴様らの行いをオレは許すわけには いかねぇ、仲間も待っているんだ...。 一気にケリ、付けさせてもらうさ!!!」 「あゎゎっっ!!?...おっきな 熊....ひっ北極にもあんなのいないよぉ!!」 硝子の様に砕け散った壁の破片を かき分け本来の姿し突如!!出現した 『最果ての白熊』【サイレント・ベアー】に 驚き思わず裏声で叫んでしまう...。 [ん?トモ...キミあそこに居たのか?] 「違うさ、オレはあそこの生き残りの 人々が寄り集まり暮らして村で 助けられたのさ...その時、その姿の 貴様の事を教わった...この法衣をくれたのも あの村の生き残りの女の子だった....。」 [あははははっっ!!!...健気だね〜。 そんな“情”を持っているなら...そこの奴ら みたいに〜なっちゃうよ?] 文字通り巨大な白熊の身体へと変化した サイレント・ベアーは言いながら 身動き一つ出来ずにたたずむ3人を指さした... 「ふっ、それでもいいさね。 オレは感情のままに動く性格なんでね!!」 『ジャキャッッ!!!』 [っと、定石崩しも二度目は飽きるねぇ!!] …次の瞬間!!!… 自分と向かい合をうとした 何故か巨体でも平気で着れている 伸縮性を持つオーバーオールを纏った 敵に蹴り技を放つ、が.... 『ゴスッッン!!!』 「フィードバックしてもこの威力か!? (直撃なら...!!!)」 逆にカウンターパンチを喰らい 吹っ飛ぶ、しかし!!その瞬間に後ろへと ジャンプして衝撃を減らした トモは再び、氷壁を蹴り上げ、巨体に なった事でさっきより反応の鈍くなった サイレント・ベアーの無防備で 隙だらけ背中を蹴り付けえぐる!!! 「“さんしゅおうらいげき”.... 改っ!とでもしておくさ?」 『ぶぎゃぎゃぎゃっっ!!!』 [ふぎゃぁぁっっっっ!?!!ばかなぁ!? こんなはずじゃぁっっ!?!!] 一瞬の呼吸停止とバランスを崩し 凍れる床へと物凄い地響きを上げて 倒れ込むサイレント・ベアー...そんな彼を 見下ろすトモは、 「それが人間から進化したもんの実力さ?」 そう挑発的に言いながら、すかさず 拳による追撃を放つ!!! まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |