『7月13日(木)』 第三五五話 『零【ゼロ】』(7.13.木) “支柱”の1人『最果ての白熊』 【サイレント・ベアー】が仕組んだ、 コンボにより一行が全滅へと 追い込まれていた、その時!! 同じように牙城“眠れる雪の城”へと訪れていた 選ばれし能力者『井原 知也』が 颯爽と現れ、ソノ窮地を救う!!! 謎の病原体に侵された『光助』『洋子』 『竹丸』の3人を見守りながら 自分だけが何かに感染していない事を 少し疑問しする『勇二』だった...が、 それほど深く考えず再び闘いを見つめた... 『ドキャッッッ!!!』 「...それがお前の“能力”かよ?...。 (やっかいさ....。)」 追撃を放ったトモの拳を無数の 毛針と化した真っ白な体毛が突き刺さる!! [あふふっ、まぁ〜っかに染めて アげようか?トモ?] 「上等だね、やってみな!!!」 『がすっっ!!!』 「ぐっっ!?!」 一瞬!!身を退いたトモを嘲笑いながら 立ち上がった口元から体液を垂れ流す サイレント・ベアーに再び蹴り技が入る、も... [ぐぇっへへへ!!!自爆じゃん!!! ほらぁおツリはいらなぃよぉ〜!!! 取っておきなよぉ!!! 100%ぁぁ『惨轍爪』【ざんてつそう】!!] 『ザキュゥッッッン!!!』 「あぁぁっっ!!!!」 敵の体毛の前にそれは歯が立たず 逆に反撃の打撃をまともに喰らう!!! 思わずそれを見て発狂した様に 叫ぶ勇二は足を震わせて、その場に 座り込んでしまった... [くっあははっ!!!] 「もぉダメだよぉ...こんなん... 無理、無理...絶対やだ...。」 圧倒的な攻撃で完全に戦意を喪失させられた 彼は既に失禁寸前だった...しかし、 勇二が現実から目を逸らそうとした …その瞬間!!!… 「流星キィッック!!!(ってか。)」 何とか攻撃を防寒具に守られていた お蔭で致命傷を受けずに済んだ トモの反動を付けた攻撃がーーー [あ”ぁ”?...もう飽きたし...。 本気になった僕の前ではぁーーーー 無理なんだよねぇ!!! 『ストレンジ・ニードル・シャワー』!!] 『シュパパパパパパッッッッン!!!』 だが、既にそれを読んでいた サイレント・ベアーは能力を使用し 全身の体毛を逆立て剣山の様な 状態にすると、そこから更に迫り来る トモに併せ、小さな針程度に硬質化したその 毛を幾重にも飛ばし迎撃の砲撃を開始する!!! 「...ぶぃ...(このままじゃ!!!)」 どうにか身体を動かし仲間のピンチを 助け様とするも光助は何も出来ずに 傍観するしかない.... 『ジュカカカカカカッッッ!!!』 [あははっ!!!罰だばつぅ!!! 僕を負け犬なんて言うからぁ!!!] 無数の針が彼の全身を貫く音が 大広間に響き渡る...しかし、彼の 断末魔の声は聞こえなかった...何故なら 「それで終わりさ?」 彼は生きているから!!! 『7月14日(金)』 第三五六話 『絶対値増加!!』(7.14.金) [バカなぁっぁ!!?!僕の 『毛針』【ファイン・ニーズ’ス】は 確実に『トモ』!!キミを捕らえていた のに...なんでっ!!!!] 何故か平然と場にたたずむ知也の 周囲には能力を強制的に解かれた 『最果ての白熊』【サイレント・ベアー】の 真っ白な体毛が散らばっていた... 「オレの周りの全ては“零”となる。」 サイレント・ベアーは一瞬!!ゾクっと 背中に冷たいモノが走り身を退く... それは動物の直感が知らせたものなのだろうか? 「...!?!...あのヒト...の “能力”(ちから)って一体...。」 へたり込む『勇二』も同時に寒さとは 違う何かを感じ、少年同様に困惑する... [なっ!!何をカッコつけてるんだ!!! 一回くらい避けただけだ!!! まぐれじゃないかぁ!!!] 息を切らせながら叫ぶサイレント・ベアーは、 その直感に逆らい無謀にも彼に襲いかかる!! 『偽りの魂』【レイヴィンド】の牙城 “眠れる雪の城”の中枢... 「どうなさるんですか? 『夢の躯』【エタニアル】さん。 このままではサイレントの坊や殺られて しまいますよ?また欠員が出ますね? 親衛隊、“支柱”にも。」 彼らの闘いを静かに見つめるエタニアルの 横に再び姿を現した『無限の雹気』 【ルーズ・ベルト】は仮面の下で笑みをこぼす 「某はサイレント・ベアー殿を信じて いるで-す....しかし、必要とあらば 某も参戦するやも知れませぬ...。 所でルーズ・ベルト殿は手を貸しては 頂けないのですかな?」 いまいち掴み切れない人物の対応に 疑問で返したエタニアルは、提案すると 同時にまた映像に見入った... 「そうすべき時ではないのでね。」 「?」 何時の間にかルーズ・ベルトはその姿を 消していた...意味深な言葉を残して...。 『シュパパパパパパッッッン!!!』 無数の毛針が飛び交い再度 凍れる床に立ち尽くす、トモへと襲いかかり あと寸前で身体を貫き通そうとした、 …その瞬間!!!… 『カヒュッッッン...。』 唐突に彼の全身から曖昧な水色の 気で出来た様なオーラが出現し、毛針の エネルギーを吸収する様に包み込み、ただの 体毛へと変化させてしまった... 「解ったか?これが“零”だ。」 今までにない冷めた瞳で少年を見つめる トモは静かに言い放ち拳を構えた...。 『7月15日(土)』 第三五七話 『古術陰術式』(7.15.土) 「...恐い...背中がぞくぞくする...。 あのヒトが持っているのって...まさか!?!」 『知也』の未知なる“力”を何故か『勇二』も 恐れつつ、その闘いに食い入る... [“零”?...なんなんだぁ!!!! キミのそのワケわかんない自信がぃっっっちばん 無性にムカツク!!!!] 『パキャァッッッッン!!!』 とにかく連続で攻撃を加え一気に倒そうと する『最果ての白熊』【サイレント・ベアー】は 狂った様に打撃を繰り返す....が、 「諦めろ、資質が違いすぎる....。 お前の拳がオレまで届く事は絶対に、ない!!」 『がきょっ!!!』 [うっ....うそだぁぁぁ!!!] 何か強大なモノに攻撃を阻まれ無駄に体力を 減らしただけに終わる...。 「オレにはあまり余裕もないからな...。 手加減出来ないが、勘弁するさ?」 『ぱきゅるるるっっっ!!!!』 トモが拳を腰の位置へと構えた途端!! そこへ多量にオーラが集束し、鈍い閃光を放つ [そっそんな脅しなんかぁっっっ!!! ...あははっ奥の手ぇ!!『形成体破壊爪』 【オーガニスタ・クラッシャー】ぁぁっっ!!] その光景を見て焦るサイレント・ベアーは、 締まりの無くなった口から血液混じりの 唾液を垂れ流しながら渾身の打撃による一撃を 彼に向かい放とうと、拳を振りかざす...しかし、 …その瞬間!!!… 「“古術陰術式”『絶』...。 全てを飲み込む...『冥界の津波』 【コキュートス・ディヴァイン】!!!」 『ギャギャギャギャァッッッン!!!』 既にトモからの技が繰り出され一瞬にして サイレント・ベアーを彼の拳から討ち解かれた 曖昧な青色の波動が包み込んでいた!!! [なっ!?!!おぉぉおっっっっ!?!! ひっ!?!これはこのぁ!?!! 助けて!?!!あぁっぁっ?!!!] 何故か恐怖におの退きながら情けない 雄叫びを上げ、光に包まれたまま即座に 歪みへと沈んで行った少年を見下す様に 「それがもっとも死に近い技さ。」 彼は言い放ち、勇二達の下へと足を進めた...。 「これは“雹冷症”と呼ばれるモノだ...。」 「...あ...あの、何?それ???」 先の出来事を見ていて少し脅えながら 勇二はトモと会話をする... 「おぃおぃ、そんなに恐がらないでくれよ? この症状の原因は一つだ...。 体内に氷型の『幻魔』がウィルスとして 残っているのさ。」 トモはそれを察し、弁解しながら 病状を説明した後... 「じゃあどうすれば?...身体の中に入るの?」 「あははっ!!昔あったね、そんなの。 違うよ...オレなら表面上からーーー こうやって...っと。」 まずは女の子からと、フェミニズムを優先し 『洋子』の腹部に右手をかざす...。 『7月16日(日)』 第三五八話 『凍れる世界での決戦』(7.16.日) 「陽術式...『解放』...。 自身の持ち得るリピドーによる... 『陽性強化治癒』... 【エターナル・シャイン】...!!!」 『シュキュァァッッッッッン!!!』 『知也』のかざした右手に、先の闘いとは 逆に優しく暖かい光輝きを放つ気が集束され 目映い黄色いオーラを纏うその手から 微量に降り注ぐ気が『洋子』の体内で暴れる 『絶対零度の零下』【ベティ】の ウィルスを一瞬にして浄化してしまう!!! 「あっ...ぅう...あぁ!!ぼく!!! 動ける!!!...有り難う...知也君!!」 「ははっ、トモでいいよ。 それよりお名前は?」 「あはっ...あの...『光助』達も早く 助けて貰えると嬉しいんだけど...。」 滅菌が済み、ひさかたの自由を手にした 洋子は無邪気な笑みを浮かべ、それを見て 思わずトモはナンパに走ろうとする...が、 それを行う前に残りの2人を助けて貰える様に 『勇二』は懇願する...。 「ふぃ、助かったぜ?」 「有り難うございます、知也さん。 僕は『御津 竹丸』と言います。」 「だから、トモでいいさね、竹丸君。」 全員の滅菌を終えるとトモは一息付いて 側にあった氷の食卓に腰を下ろす... 「それにしても...『京香』達は どうしたんだ、トモ?」 「アレ?...キミって.....???? (『ハウリング』だとばかり思って助けて みたんだが...人間の姿をしているし...。)」 光助の“能力”解除を行った姿を 知らないトモは困惑する...が、 「解らない?そっかオレっちこっちでは “獣化”しっぱなしだったからねぇ。 ハウリングだよ、それなら?」 「うそぉ!!!!マジで!!!!! ショック!人間時の方が太ってない!?」 「おぃおぃ、そこにショックかぃ! まぁそれはおぃおぃ説明するぜ、それより なんで一人だけで行動してるんだ?」 取り敢えず説明を受け、なんとなく納得し... それよりも外見に驚いていた... 「それじゃあ横の子が勇二...君だよね?」 「ぅん、あっ...勇二でイイですから。」 「ふぅ、光助...質問にはちゃんと答えるさ。」 少し下をうつ向いてからトモは今までの 経緯(いきさつ)を軽く説明し、伝える...。 「なるほど...弾く結界か...。」 「そう、それで一人ってわけさ。」 一人で行動している理由を聞かされ 理解した光助はこちら側の話しも伝えようと 思ったが、それは後に回し... 「トモ、こっちの説明もしてやりたいんだが、 時間もない事だし、合流してから でも、良いか?」 「勿論構わない。」 彼らは大広間を出て、少し廊下を 歩いた後に出現した大扉を開き、静かに中へと 進入して行く...だが、その後ろには何者かの 姿があった....。 まだまだ続くのですぞッ!! 『ノリがもう、めちゃめちゃで〜ッ!!』 先を見るんッスねぇ〜!! |