戦う事は出来る筈...


【Killing Field Avenger】

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〓5年...それは、人が過去を忘れ去るには
十分すぎる期間...。
そして、忘却は復讐へとヒトを突き動かす!!〓




キリング・フィールド・アベンジャー
(2004/1/31/Saturday)




「早く!!早くコレを持って逃げなさい!」
「で、でも...アンタは!!」
「そうだよ、お婆ちゃんを置いていけないわ!」
白装束姿の老婆は、自らの
左腕へ巻き付けていた、勾玉の括られた
数珠を茶髪の男の方へと手渡すと、困惑する2人へ
この場より出て行く様、告げ
有無を言わさず囲炉裏で火鉢を
囲んだ座敷より、彼らを追い出した
「あんた達は生き残りなさい!
あたしゃ、もう年だ...そう長くは
精神が...結界も保たなかったのさ...!!
あんた達と出会えて本当に良かった....。
本当の孫の様に、愛していたよ!ほら、お行き!!!」
そして、最後に笑みを2人へ向け
勢い良く、裏口の扉を締めた!!
...........忌々しい結界も今じゃ
....役立たず....か....やっと、アンタを
喰えるよぉ....ふひひひひっっっ!!!!!

キツイ傾斜の獣道が続く、緑が生い茂る山を
彼女の手を引いて、彼は必死に下って行った
「けして、けして振り返ってはイケないよ...。
愛知』【あいち】『阿綱』【あつな】...さようなら...愉しかっーーーーーー」
ブシュアァッァァァァァッァッッッ!!!!!!

「はぁはぁハァハァ....。
大ジョブか?!アツナ!!!」
「うっ...うん...でもお婆ちゃんが...
私、戻りたい...よ...。」
何故、俺達があのババァとこんな山奥で
暮らさなければならなかったのか?
それには、深い事情がある....
今から5年前の今日、この日に起きた
あの忌まわしい出来事が、俺らの人生
そのものを変えちまったからだ...
「駄目だ!!」
「でも....!!」
当時、俺達はまだ12歳の小学生だった
この泣き虫な女、アツナとは幼馴染みで
クラスも一緒だった、あの日は遠出の
課外実習、簡単に言えば遠足の様なものが
行われるハズだったんだ....
「死にたいのか!?!」
「...ううっ...ううっ...。」
同じ班だった俺とこいつは、バスの席も
隣同士で、仲間に冷やかされたものだ
けど、この隣に居た事が幸いした
コイツだけは...アツナと俺だけが
バスの事故から生還出来たんだ...
「糞っ...今、何時だ?!!」
「も、もう直ぐ...16時...。」
突然の暗転が俺達をあの時、襲った!
今考えると、奴らが運転手から涌いて
事故を起こさせたんだと思う
「やべぇ....これなら婆ぁと
あそこに居た方がまだ...クソッ急ぐぞ!!」
「おっ...おぅまが....とき...が...ううっ...。」
たまたま背負っていた荷物がクッションとなって
俺らは、衝撃で俺が無断で
たまたま、風を浴びる為、開けていた窓から外へと
吹っ飛ばされても...あの爆発から生き残った...
「解ってる!...時間が...くそぉおっっ!!」
「あの時も...私を慰めて、貴方は
走ってくれたね...。」
だが、そんな場所で生き残った所で
俺達はどうする事も出来なかったんだ...
トンネルに入る直前で起きたソレから
命辛々(いのちからがら)脱出した俺らは
宛もなく山道をさ迷った...そうして、ババァに
出会った、疲れ果てて
倒れ込んでいた、この山の中でッ!!
「......アツナは俺が守るから....。」
「.....うん...。」

その山は霊峰だった、彼女は
山寺の神子(みこ)として存在し
悪霊、雑鬼の類を調伏(ちょうふく)する
仕事を人知れずこなしていた
彼女が2人と出会ったのは
偶然だった、下界の異変を
肌で感じとった事で確かめに参道を
下った時であった
2人の身体は打撲と擦り傷、その体で無理を
強い、山道を登った事と
突然の出来事による精神的な疲労で
目も当てられない程、弱り切っていた
彼女の手厚い看護と、霊力の磁場で守られた
山寺の中へと運ばれたお蔭で2人は
みるみる生気を取り戻して行く、が
彼女には一抹の不安があった、この現実を
この幼い心で受け止められるのか?っと言う...
更に、自分の“力”がソレを維持し
張っておくにも限界がある事....だが
この出来事は、逆に彼女の内へと
生きる希望を与えていた、何故なら
アノ厄災は、即刻日本全土へ広がり、やがて
全世界を覆い尽くすこと、これが原因で
もう自分の娘と孫が死に耐えた事を
心で感じ取っていたからである、そんな時の
来訪者は心の傷を癒すにはうってつけだったのだ
彼らも既に、孤独の身であったから...
お互いがお互いを助け合い、そして
5年の月日が流れ、今日と言う日が訪れた...
奇しくも、この日は、彼らが彼女と
初めての出会いを果たした日にちでもあったのだ。

「くっ...はぁはぁはぁ...麓(ふもと)から
下山して...早くても...ハァハァ...
あと10分は掛かっちまう...!」
「ダメ...もう力場が...変わったみたい...。」
太陽が傾き始める16時から
朝日が立ち昇るまでの時間の外出は
2人は許されていなかった、何故なら
「くそっっっ...ババァぁっっ!!!!」
「ざっ...ザワザワする...来るよ...。」
その時刻から、世界は“幽魔”っと呼ばれる
悪霊が支配せし地となるからだった
ザワッッザワワ!ザワザワ!!ザワッッ!!!
木々の擦れ合う音がまるで
話し声のごとく彼らの耳へと伝わる
「この数珠には奴らを弾く力があるハズだ...
アツナ...これ、繋いだ手に絡めろ...。」
「うっ..うん...!」
さっきまでの山が、かもち出していた
静寂は嘘の様に掻き消され
夕刻の訪れと併せ、それは影から出現し始めた!!
身体...うまそうな...肉...。
「走るぞ!!!」
何処から喰らおか....。
「わっ....解ってる...!!!」
待った.......待った....
.....コレでおれも...蘇れる...んだぁ...!!

初めて此処へ来た時の様に
蔦、葉や木の枝で手足を少しずつ切り裂き
傷を負いながらも2人は
手を繋ぎ街道を目指し走り続ける、がしかし
「きゃっ?!!」
「うぉっ?!!...いつつ...うぁぁっ?!」
数珠を腕へ絡めお互いの手を
繋いでいた為、彼女が何かで躓いて
転ぶと同時に彼も足を捕られてしまう...
「ごっ...御免...ひっ?!!」
即刻立ち上がり、再び走らんとした
2人の目に飛び込んだ物、それは
彼らが足を掛けてしまった人骨だった、しかも
「骨....死体を俺らは踏んずけちまったのか...
...こんなトコで同じにはなりたくないだろ!
アツナ...早く立て!!」
彼女が立ち上がろうとしたーーーーー
……次の瞬間!!!……
.....影がアレば...何処でも
移動出来るのを...忘れていたかなぁ...。
喰べ残しは良くなぃものね...。

その影より、ヒトの姿をしてはいるものの
生者のソレとはまったく異なる異質な
雰囲気を持つ腕が少女の足を掴み上げながら
そのまま伸び上がるかのごとく
この姿を完全に現した!!!

「うぉおお....ッッッ!!!
アツナを離しやがれぇっっっ!!」
無我夢中でアイチは彼女が持ち上げられた際に
外れた、絡めていた数珠を右手へ
握り締めソレへと果敢と立ち向かって行く、が
ドシュカッッ!ドシュシュッッ!!
「うぎゃっ!?!」
軽く、彼女の擦り傷より垂れる
鮮血を嘗めたソレから放たれた、鞭のごとく
しなる触手からの一撃で弾かれ
この勢いで背面を大木に打ちつけられてしまう!!
「...いやぁああぁぁっ!!!?!」
...おぉおお....数年前に失われた
身体が...新たなる知性が...私に甦る...!!

身体を異形へと成り変えたソレは
歓喜し、叫ぶと...時の訪れを告げる...
「げふぉっ...糞..囲まれてやがるのか..?!
それより何より...なんで、何で...
これを使っているのにーーーッッ
コイツらを封じられねぇんだ!!」
「....駄目...逃げて!!アイチぃい!」
....“逢魔ヶ刻”....さぁ.....
宴の時間ですよ....くくくっハハハハッッ!!

これを切っ掛けとし、声だけだった
ソレらも血肉を求め夕闇が
生み出す影より....這い、い出る!!

「...確かに...幽体なら...けど、今!
てめぇは....肉体を持ってんだろーがぁあ!!」
どがぁっっっっっっ!!!!!
次々と姿を現し始めたソレらが
自分を捕らえる、その前に
たった今、肉を持った目の前の青白いモノへ
頭から足元を狙い、突っ込み押し倒して
彼女を救い出したアイチは、転がる様に
そのまま下山せんとする、が...しかし
……この瞬間には!!!……
.....立ち向かうだけなら...
愚かな誰でも出来るんだよ...くくっ!!

もう既に何処へも逃げ場など、存在しなかったのだ!!
「か...囲まれたわ....もう
逃げられない...ううっ私のせいだ...私の..。」
あらゆる闇が囁く、生者を求めて
「違う!アツナのせいなんかじゃない!!
....けど....糞ッッッ...!」
やがて取り囲む影は人を成し
徐々に彼らを追い詰めて行く、しかし
めきゃぁっっっっ!!!!
再度、彼は落ち葉の下へと隠れた朽木を拾い上げ
ソレらへ襲いかからんと、構え走り寄る、が
...肉体があるから、どうにかなる...。
そんな筈がない事は自分で解っているだろう...?
....無理をしなくていい....我らが血や肉と
成って...生きる方が幸せだ...

今度は、突破口を開く事さえ許されず
簡単に跳ね飛ばされてしまった...
「....最後まで一緒だよ...アイチ?」
「馬鹿....諦めるな!!」
「ごめんね...私...もう走れないから...。」
「あの時に...足...痛めたのか?!」
巨大な木の幹を背とし、遂に
退路を絶たれた2人は、ジリジリっと
詰め寄らんとするソレらに必死で抵抗せんとする
.......ルロロロロォオロロおおぉ!!!
それが無駄だと知りながら.....
「恐い...恐いよ...アイチ...。」
「大丈夫だ....俺が...俺がぁあっッ!
(糞っ...こんなトコで死ぬのかよ...!!!)」
だが、全ての状況が絶望を迎え
次いで死が2人へと訪れんとしたーーーーーー
………その瞬間!!!!!!………

「そうだぜ...絶望する暇があるなら、諦めず
立ち向かえ!例え、目ん玉1つになっちまっても
ーーーーッ戦う事を止めるな!!
そうすりゃ...きっと、道は切り開ける筈、だッッ!!」
どぎゃっっん!どきゃぁっっん!!どぎゃぁぁっっん!!!
その声の主は、叫ぶ言葉と共に、ぬぅっ!っと
アイチとアツナが追い詰められし、巨木の横から
銀色で鈍く輝く銃口と、それを持つ腕を出現させーーーーー
うっうぎゃぁぁぁっぁっ?!!!
ひっ...ヒギッっ!?!!
ムギャァァァぁぁあぁッあ!?!
砲撃を今まさに、襲い掛からんとしていた
異形の者共の顔面を狙い撃ち放ち、この弾丸で
正確無比に貫き、奴らを穿ち葬り去った!!!!
「論より証拠だ.....これで、解ったよな?
....なぁ....坊主...!!」
オレの名前は『倉敷 尭示』【くらしき たかじ】
彼岸(かれぎし)を破壊せんとする者!!



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