〓生き残れ!! 死ぬ為の戦いなどに、明日はないから...。〓 |
『キリング・フィールド・アベンジャー』 (2004/1/31/Saturday) |
5年前のあの日、“樹海”から ソレは溢れて広がった.... {クラちゃんッ!弾丸は限りがあるから なるべく剣で!って伝えたでしょ?!} 「解ってるよ、『勇一』【ゆういち】... そう耳元で喚くなってっ!」 日本はあっと言う間で奴らに 浸食されて行ったらしい...経過は 他の諸国が後に教えてくれた 次は自分達の番なのだから、急いだんだろう 「...あっ...アンタ...何者だよ?!」 「きゃぁぁぁっっ!!!」 {右45度!木の影だよ!!} 時差があるせいなのか?深い事情は もう忘れちまったが、確かなのは オレらが地獄からの脱出劇を繰り広げた アレが始まったのも丁度、夕方だった事だけだ... [.....ブォオオッッォオ!!!!! 血を...肉を...ォオ!!!!] 『ドシュカァァァッッッッッン!!!!』 「相変わらず、君は遅いんだよ...。 『倉敷 尭示』【くらしき たかじ】! やれやれ...“幽魔調伏”...任務完了、即刻 保護した2人を連れてソッちへ向かう...。」 だが、他国の奴らが知りたかったのは それだけじゃなかった....そう あの日、終わらない悪夢の中で、さ迷う オレ達をこの道へと導いたーーーーー 「そちらさんこそ、相変わらずの口のききようだよな? 『餐場 要』【あいば かなめ】さんよぉ〜???」 {喧嘩してないで!回すから急いでね もう...『逢魔ヶ刻』【おうまがとき】に入ってるんだから!!} この“力”を求めていた!! 無尽蔵で這い出る悪霊共へと、唯一 対抗し得る力を!!! それ程は大きくない拳銃を 背中のケースへとしまい込むと 彼は、フードを被った白金に輝く剣を 振り下ろし敵を排除した彼女へ眼で合図を送る 「...なっなんなんだよ!マジで!!」 「つべこべ言うな、もうアノ時刻だ...。 解ってんな?坊主...立て、走るぞ!!」 「けど、アツナが!!」 「足を怪我しているんでしょ? ワタシがオブルは...さぁ、急ぐわよ...!!」 裏口から獣道を擦り傷を作りながら 走ったお蔭もあって、街道まで2人は もう後、少しの距離で逃げられる筈だった 「あの...私..平気ですから...つっ...!」 「遠慮しないで、そこから降りれば すぐに街道に出るわ...。 それに足で纏いになりたくなければ素直でいなさい。」 足止めを喰わなければ、もしかしたら 到達していたかも知れない程の距離であった事に 憤りを覚える中でも、一時の安息からか 胸をなで下ろしながら、そうなると今度は 次から次へと涌いて出る疑問を尭示へ ぶつけたくなるアイチだった、が 「へぇ...中々、体力も申し分無いじゃねェか!」 「はぁはぁはぁハァ.....!!(見えた!)」 今のところはどうにか、この衝動を我慢し 当初の目的であった街道へ出る!っと言う これだけに専念し、走った...。 ザワつく森を抜け、彼の目に飛び込んだモノそれはーーー 「おぃ...勇一!!出るぞ!」 {飛び移って!!止めてたら殺られる!} 「....こっ...ここは....!!!」 あの事故が起きたトンネル付近の景色と 痛々しくも未だ残されていた 焦げたバスの残害だった... 「まだ...あったのね....ううっ...。」 「悪いけど...喋らないでね、舌を噛んでしまう...。 じゃあ...お嬢さん...覚悟して...飛ぶわ!!」 『キキキッッッッッ!!!!!』 急ブレーキ音が、蠢く者共の囁きを 掻き消しながら、トンネルの中から 喰いカスをけ散らして閃光と共に出現する、っと 「坊主、オレの合図で飛べ...ミスれば死だ... 行くぞ...3、2、1ーーっいけぇぇっっ!!」 ……次の瞬間!!!!…… {開けた!飛んでっ!!クラちゃん!要!!!} 『どしゃぁぁっっっっっ!!!!!!』 対砲撃様装甲付きの銀色を輝かせる 大型トレーラーの横っ腹へと向かい 一同は、覚悟を決めて勢い良く飛び込んで行く!! 「つっ.....糞っ!!!! 頭ぁ打ったじゃねーかよ!!」 「どうやら、大丈夫そうだな...。」 「うっうっ...ぅわぁぁっっっん!!」 「ほらほら泣かないで...生きてるだけマシでしょ?」 トレーラーの牽引する貨物車は、両方の側面が 内部もそうだが、大きく広く開閉可能である しかし、この扉は半開きの状態で、飛び乗った時 やっと完全に開いていたのを思い出し {飛ばすからね!しっかり捕まってて!!} 「そう言えばおぃ!勇一、お前ーーーーーー」 「運転中に声かけない方が良いわ...。 タブーだったでしょ?」 文句を言いに行かんとする彼だったが 「ーーーっっ...あっ、あぁ、そうだったな...。 やれやれだ....。」 取り敢えずは、助かっただけでもマシと 思う事とする、単純に山道を走る車の揺れで その場から立ち上がる事すら 容易ではなかったから、っと言う もっともな理由と、後一つこれとは 別の、また大きな問題が 運転手にあったからである。 やがて、静けさを取り戻した 宵闇の世界の中、只1つ爆走する 普通の色では出し得ない銀色のトレーラーが ずんずんっと山道を下って行く... 「流石...勇一特製の“対・幽魔装甲車”だな (運転は誉められねーけどな。)」 {あはは!ありがとう!!それより クラちゃん?2人の様子はどうなの???} その車内で、いよいよ少年の質問責めが始まった 「あぁ、それがな....。 お前、どうにかしてくれないか? やかましくて仕方がないんだ」 「おぃ!何でだよ!!俺はアンタらの事を 聞いてるだけだろーがよ!!!」 すると、アツナの手当をしながら やれやれと言う顔で溜め息をつく彼女は 説明するから静かにしろ、っと少年を黙らせる 「取り敢えず、2人の名前...聞いてもいいかしら?」 「はぁっん!?...そっちから名乗れよ!!!」 「ちょっ、そんな言い方...助けてもらったんだよ...?」 だが、そっけない、むしろ 好戦的な態度をするアイチであったにも かかわらず、彼女はゆっくり自分達を名乗った 「それもそうね、ワタシは『餐場 要』【あいば かなめ】 宜しくね、こっちのデカイ図体の男はーーーーー 「おぃ!デカイって、何だよ!!」 『倉敷 尭示』【くらしき たかじ】、で この手荒い運転手が『明日乃 勇一』【あすの ゆういち】 {ちょっ!ちょっとーっ酷いなぁ〜っ!!} 以上、3名よ?はい、じゃ次は貴方達、お願いね?」 勝手に2人の自己紹介も付け加えて、これには 「うっ...わっ解ったよ! 糞っ....俺の名前は『騎馬 愛知』【きば あいち】 」 「わ、私は...アイチの幼馴染みで... 『雁月 阿綱』【かりつき あつな】って言います 皆さん...助けてくれて有り難う御座います!!!」 渋々ながら彼も応えるしか無く 「騎馬くん、か.....」 「アイチだ.......アイチで良い!」 言い捨てる様に喋るとそっぽを向いてしまった。 「そ...それにしても、貴方達はあそこで 一体何をされていたんですか?」 不意にアツナが口を開く 「....そりゃ逆にこっちが聞きたいぜ? 坊主らだけで、今までどうやって生活して来た???」 「質問を質問で返すなよ!!!」 双方が持つ疑問、それをまず 解消しなければ先に続く話しも出来ない、っと 「2人共、黙って...似た者同士らしいわね けれど今は時間が惜しいの...こちらも話すから 何故、この5年間生きてこれたか教えて頂戴。」 要は先にアイチらの話を聞く事を提示し、これを伺い 「....そうか、そいつはまたヘビィな事件だったな...。」 {“穀戒(こくかい)”さん....一足遅かったんだね...。} 「やはり生きていたのか...なる程、それで生き延びられたのね、ワタシらも (それに....その数珠...。) あまり変わらない境遇かも知れないわね...。」 あの状態へと陥るまでの大まかな 流れを2人はたどたどしく語った... 「で、何でアンタらは此処に来たんだよ? それに奴らと戦えんだよ?!」 「ねぇ、アイチ...もしかしてお婆さんの事で... じゃないかしら....それにアレらに対抗出来る手段は.... たった一つしかないわ...。」 言わずと知れず、あの神子の存在を求めて 彼らはこの山奥まで車を走らせたのだ 当然、日暮れ前に辿り着ける筈だったが 不測の事態が起こってしまった、それを 今はまだ3人は語ろうとはしなかったが 2人への疑問には答えるつもりでいた、何故なら 「おっと、お嬢ちゃんは感が鋭いな... そう、オレ達は“穀戒”って奴に用があったのさ」 アツナとアイチもまた、自らと同じく 戦場へと降り立つしかない運命を持っていると 彼らの瞳を見て、感じていたからだった...。 『どぎゃぁぁぁっっっっぁあっっ!!!!』 だが、尭示が続けて言葉を放たとんとしたーーーー ……その瞬間!!!…… 『キキキッッッキィッッ!!!』 トレーラーの貨物側の天井へと、何かが落下した様な 衝撃と大きな音が内部へ響き渡り、更に 「ーーーっ何だ...まさか...。 こいつらの“影”にはいなかった筈だ!!! 居たら、この中では存在は掻き消される!!」 {違う!!追跡して来たんだ...物凄い速さ...で...くっっ!} …次の瞬間!!… 『がきゃきゃきゃきゃっっ!!!!!!』 「ぅわぁっ?!またかよ!何なんだよ!!」 「恐い...怖いよ...ううっ....。」 再び、何か?からの物理的な攻撃で 激しく揺られ、車体は大きくバランスを崩すも 勇一の運転技術を持って、どうにか走行する事を 止めずソレを乗せたまま彼は運転を続け、急ぎ伝える 「おぃ!!返事をしろ!勇一!!!」 {....クラちゃん...“ハイブリット体”だ!! 急いで.....このままじゃ....死...くっぅうッッ!} このままでは何(いず)れ、自分達の乗る 車体が、天井の肉を持った“幽魔”によって [あタシの..がゎ...ィィ....肉ぐぅう!!!] 「尭示、解るでしょ? 彼らの話しを聞いたんだし、今、新鮮な血肉を喰らった! っとしたら、その餌は....出るよ!!!」 破壊されてしまう事を!!! 『Dead』or『Alive』 |