とろっトロで行こう!! |
第97話 その手に…未来を 其の2 眠れる者へ… …私は...彼に...『智哉』君に 助けられてから、何度も彼のお見舞いに 行っていた...彼の両親は外国に住んで いるとかの理由で病院で会った事が なかった、でも今...そんな彼の 肉親に出会った...そして、全てが ようやく理解出来た… 「...貴方の目的は...なに?」 『夢麻』は、力の無い声で そう呟き『歩無』を静かに見つめる... 「...ふっ...目的...か...。 そうだな、全てがもうすぐに終わろうと しているんだ...此処まで来た褒美に 教えてやろう...。」 すると、歩無はカプセルの中で 眠り続ける智哉に目を向けながら ユマの質問におもむろに答え始めた...。 「『世界を革命する為』...だ、...と 言ったら...笑うかい?」 “トロ”は、まだ何が何だか 飲み込めずに一人その場で困っていた... 「...あっあの...どうして... そんな事を!?!」 「...笑わないわ...。」 「そうか...。 ...あの男が創り出した装置を使い 俺が『暗転』...異世界と今の世界の 融合を行う...つまりまったく... 別の世界が誕生するのだ...それが 革命...強い者のみが生き残る世界... これが目的だ...。」 夢麻は、歩無の言葉を全て 受け止めていた...彼が本来成し得ようと している事がうっすらと解って いたからだ...そして、それに 自分が大きく関わっている事の 恐怖と罪悪感が彼女をの心を蝕む... 「...復讐...。」 「えっ!?...夢麻...さん?」 夢麻の様子の変化にいち早く気付いた トロはすぐに声を掛ける..が、 「...あ....の....お.....そ.... め...わせ....た...わ.....し...!!!」 その声は既に届いていなかった...。 「あなたのおとうとをそんなめに あわせたのはわたし!!!」 ブツブツと呟いていた声がしだいに ハッキリとトロの耳に鮮明に入って行く... 「...ど...どう言う事なの...。 夢麻さん!!ユマさん!!ユマ!!!」 トロもまた少しづつ全てを 理解しつつあった... 「...さぁ、オシャベリはお終まいだ...。 これから...『浄暗』が訪れ 弟は智哉は、目を覚ます!!! だがーーー、その前に!!!!!」 歩無が叫ぶと同時に“ペルソナ” 『オシリス』がその姿を現す!! 「...こっ...このままじゃ... ボクがどうにかするしかない!!!」 『ばひゅぉぉぉ!!!!』 だが、それと共にトロの背後から 漆黒のペルソナ『デス・サイズ』が 手にした大鎌を構えながら出現した!!! 第98話 その手に…未来を 其の3 時の満ち欠け 「...ふっ...前に『美紀』が 世話になった時にお前とは出会って いたな?....あの時の続き... を、始めようか....!!!」 『キュィィィィン!!!!』 『歩無』の叫びと同時に“トロ”へ 彼の“ペルソナ”『オシリス』が襲いかかる!! 「...ボクには、あんましいろんな 事は良く解らないケド...貴方のしている ことは間違っている...と思います...。 だから...!!!」 『ばひゅぉぉぉおぉおん!!!』 トロのペルソナ『デス・サイズ』も オシリスの攻撃を迎撃する為に 手にする大鎌を構えながら、攻撃を 素早く仕掛けた!!! 『ガキャキャキャッッ!!!』 全身を包帯の様な物で包んでいる オシリスは、その包帯でデス・サイズの 大鎌を受け止め、さらにそのまま 反撃を繰り出す 「...なかなか...だが!!!」 『がきゅおっっ!!!』 「うゎっ!?!」 包帯が鞭ようにしなり、幾つもの 鋭利な刃状に変化してデス・サイズと トロ本人を貫きに掛かる!!! 「その包帯の刃からは、けして逃れられない。 それは、『封呪の縛包』 【ラズティック・ウォール・サゥント】と 呼ばれる追尾の刃....。」 『ズギャギャギャギャッッン!!!』 一斉に包帯の刃が何かを貫き 破壊した音が部屋に響き渡る!!! 「さぁ...次は...弟の事を知って いた...彼女の番だ...な。」 だが、完全にトロを始末したと 思った歩無がオシリスの無尽の刃を 『夢麻』へ向けた …その瞬間!!!… 「...ユマ..さんには、手を出させる ワケにはいかない...『綾瀬』さんに 頼まれたんだ...だから、ボクが護る!!!」 「ーーーっなっに!?!」 『ザギュァッッッ!!!』 隙を突いたトロのペルソナとの 同時攻撃がオシリスと共に歩無を 手にした鎌で斬り裂いた!!! 「....私は...。」 「大丈夫ですか?!夢麻さん!!」 即座にユマの下へ走り寄る トロは無事だと解るとホッと 息をもらし、額の汗を拭う... 「げふっ....ふっ...ははははっっ...。 見えなかった...今の攻撃... この俺をあいつは越えていると言うのか? ...ふふっまぁイイ...既に時は満ちたのだ...。」 左腕から胸に掛けて、致命傷では ないものの切り付けられた歩無は、 その衝撃で倒れ込み、カプセルに 鮮血を巻き散らしながら、崩れ落ちた...。 「...待ってて..下さい...。」 「...どしたら...イイの? 教えて...『智哉君』...。」 未だにショックから立ち直れないで いる夢麻を背に再び歩無が 襲いかかって来るのではないか?と、 心配するトロは、少しづつ前に出て 機械に倒れ込んだ彼の様子をうかがう... 「...場のイケニエも揃っている... いや、もう十分だったのかもしれないな ...これで全てが...遂げられた... 蘇れ...永遠の眠りからその目を醒まして くれ...智哉!!!!!」 歩無は、口元から血をこぼしながら そう呟き、手元のスイッチで 天井の開閉を行う...開かれた上空には 何故か真っ赤に染まった月が悠然と そこに存在し、その場を赤く照らし 出していた...そして、突然の事に動揺する トロの目の前で遂に『浄暗』は、 開始されてしまった!!! 第99話 その手に…未来を 其の4 光臨!!そして… 『ガギャンッ!!!』 「ぅゎっ!?...天井が...開いた?!」 上空から顔を覗かせる真っ赤に染まった 月明かりが“トロ”を...いや、その場に あるモノ、いるモノ達全てを照らし出す... 「...『智哉』...お前が何故... そうなってしまったのか...?何故...俺は お前を守れなかったのか...。 今度こそ俺がお前を守ってやる... だから、さぁ目を!!!!」 その月明かりは『歩無』の叫びに 呼応するように収束して一点を照射する!! 「...人間達の慟哭...悪魔達の宴が ...お前に目覚めの蜜を注ぎ... そして、呼び起こす!!!!」 世界各地で『暗転』により世界が1つに なろうとする異変が次々と勃発する、 そして、それにともない悪魔達と 人間達との戦いが激しく 繰り広げられていた...。 「...あのカプセル...に... あのヒトの弟が...!?!」 恐る恐る歩無の下へ歩み寄る トロは、照射されている月明かりが 全てカプセルに注がれている事に 気付き、思わず走り寄ろうとする...が、 …その瞬間!!… 『どぎゃっっ!!!』 「げはゎっ!!?」 いつの間にか、身を起こし 浄暗の妨げとなるモノ全てを 破壊する為...本気になった歩無から 放たれた蹴りがそのお腹を 捕らえ吹っ飛ばした!!! 「...邪魔は...させない...。」 「はぁはぁはぁ...うげぇ...うぷっ...。」 『びちゃっ...。』 先の闘いで『オシリス』の包帯が突き刺さり 脆くなっていた柱へ身体を叩き付けられた トロは、ズルズルと床に崩れ落ちながら 胃液を吐き散らし、 砂煙の舞う中で....果てた 「...わたしは...。」 更に歩無は、素早く『夢麻』の側へ 近付くと... 「...死ね。」 そう耳元で呟き、“ペルソナ” オシリスが手に持つ金の首刈を喉元に 突き付ける、そして一気にそれを 引き、正気で無くなっている 彼女の喉を斬り裂きに掛かる!!! 『カヒュゥゥゥン!!!!』 夢麻に歩無の歯牙が掛けられようとした、 …その瞬間!!… 「...智哉。」 突如!!目映い光が 智哉の眠るカプセルから放たれ 全てを照らす!!! 「...えっ?」 それを見た歩無は彼女の喉元から 武器を離し、虚ろな瞳のまま 光の下へ歩んでゆく.... 『バヒュッッッン!!!』 カプセルの蓋が唐突に跳ね上がり それにより巻き起こった白い煙が 辺りを包み込む... 「........!!!!!」 幾重の滴となって落ちる真っ赤な 血液で床を染めながら...彼は、 はやる気持ちを抑え 足を前に進めた...すると、目の前に 煙と共に人型のシルエットが浮かび上がる!! 「...兄さん....。」 そして、煙が消え去った その場には、聖エルミンの制服を着た 一人の少年が悲しそうな顔を しながら立ちつくしていた...。 続く!! |
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