とろっトロで行こう!! |
第112話 その手に…未来を 其の17 終止符の一撃 無意識下の中で全ての崩壊を望んだ 『歩無』は、弟『智哉』を 目覚めさせる為に『浄暗』の儀式で集めた 生体エネルギーを自ら吸収し、暴走した “ペルソナ”と完全に一つとなった... 絶対魔神となった彼には、『夢麻』 『鈴子』そして『悠助』4人 からの同時攻撃ですら傷一つ付けることは かなわなかった...だが、全てが絶望に 包まれたその時!!突如、光り輝く大鎌を 手にした漆黒のペルソナ『デス・サイズ』を 持つ少年“トロ”が、颯爽とその姿を 現し夜空を舞い、その躯を斬り裂いた!!! [ヴァぉおおぉぉーーーーっっっ!!!!] 「これで、お終しまいだよ....。 でぇっっっっす・さいずぅッッッッ!!!!」 『バギュオオオォォォォオッッッッン!!』 遂に終止符は打たれる...最後に放たれた 渾身の一撃は、既に幾つかの箇所が破壊され ボロボロの魔神に致命傷を負わせたのだ!! 「...トロ...。」 頭から真二つに斬り裂かれた魔神の 全身に亀裂が走り、一瞬してーーーー [...ヴァロロォオオッッッッ!!!] 『ばきゅおおおぉっっぉっぉっっ!!!』 こっぱ微塵に砕け散る!!! 「あ...あれは!?」 「....歩無....?」 『ぱきゃぁぁあぁっっっん!!!』 崩れ落ちた絶対魔神の破片が舞い散る中で 全てのクリスタルが躯からはがれ落ち 魔神が存在していた、そこには.... 吸収され死んだものと思われていた 歩無の姿があった.... 「落ちて来るわ!!!」 見上げていた全員が同時に落下して 来る歩無の下へ走る...が、既に 彼の手はトロに空中で捕まれ 「大丈夫...ですよ...ほら...。」 歩無を抱えながらトロは、地上に 降り立った.... 「兄さん...兄さん!!!!」 トロの手から智哉に渡された気絶した 歩無の顔は何故か無邪気な子供の様だった... 「...そうだ!!世界は....私達の 世界との...融合は止まったの!?」 夢麻は、不意に叫び辺りを見回した ....すると、アレから変異が起きていない いや、それどころかーーーー 「...夢麻...大丈夫よ...彼の本来の 意志が止めたみた...。」 世界の融合...『暗転』は、逆の 運動を始めていた...つまり、融合は 成されずあれだけ近付いて接触していた お互いの世界が徐々に離れて行く!!! 「....これが、これが最後に... 歩無、お前が望んだ結果だったんだな...。 良かった...お前が生きていて...。」 悠助は、そう呟くと少し笑みをこぼした 「...元は私が引き起こした事... なんだよね...こんな大事になるなんて 思いもしなかった...よ。」 舞い散る破片が輝く粒子へ変わり 雪の結晶の様になって消えて行く中... 悠助が兄を抱えている横で夢麻を ソッと智哉は、抱き締めた... 「...さっきも言っただろ...。 君が無事なら...それでイイんだって...。 あの頃の僕の日々を君が、 変えてくれたんだから...ね。」 すると、彼女は静かに彼の胸の 中で小さくうなずいていた... 「さぁ、帰りましょう...か?」 鈴子は、これからの事を考えながら 不意に空を見上げた...そこには、 赤い月はもう無くなり、空には晴天が栄え 目映いばかりに光り輝く太陽が、 その顔を静かに覗かせていた....。 第113話 その手に…未来を 其の18 その手に…未来を 『どしゃしゃっどぎゃぁしゅおぉん!!』 その場にいた全員が、全てを終えて ホッと一息付き城から脱出しようと した、その時!! 「なっ!?....これは、まさか... みんな早く、走って!!!」 「そうか、城を生み出した兄さんが 倒されたからーーーー!!!」 突如、『暗転』により『歩無』の意志で 生み出されていた城は、彼が全てを 破棄したために影響を受け崩れ始めた!!! 『夢麻』は兄を担ぐ『智哉』と手を繋ぎ 『悠助』は傷付いた『鈴子』を担ぐ... そして、終始無言の“トロ”も彼らに 次いで徐々に崩壊して行く螺旋階段を 降って行くーーーー 『ギィシィィィッ!!!』 「はぁはぁはぁ...!!ここは....。 鈴子達が闘っていた場所!?」 直ぐに扉を開け放った先頭を進んでいた 夢麻は、その部屋の中へと駆け込んで行く 「...もしかしたら...まだ彼女も...。」 すると、そこには闘いの爪痕がところ せましと残されていた...更に瓦礫の 下敷きになっていた、ある人物の姿が...。 「召喚!!来なさい....“ケルベロス”!!」 [俺様にまかせな...『ファイヤーブレス』!] 『ばじゅおおぉぉぉっっん!!!』 その頃、聖エルミン学園内ではーーー 「たっ『たまき』〜〜〜こっちも 頼むよーーー!!!」 「はぁ、...もうしょうがないわねーーー! あっちも始末して!!」 [了解した!!!] 溢れ返らんばかりの途方もない悪魔の数に 少しづつ、闘い続けていた 生徒達も押されつつあったの... だが、暗転が打ち消された事で 世界は離れ、徐々に悪魔も現世から 消滅してゆく...世界中から空を覆っていた 闇は消え去りそして、同時に悪魔も姿を消した 「...『黛』達...ヤったのかぃ?」 青空が今まで何事もなかったかのように 学園の上空に広がってゆくーーー 「...やったぁ〜!!俺たち... 助かったんだぁ!!!」 それを見て生徒達は、歓喜するとはしゃいだ 生きていることの実感を得ると共に...。 「『凍花』!!...おぃ しっかりしろ!!凍花!!!!」 瓦礫下から助け出された彼女は、 意識を取り戻すと、すぐ目の前に 悠助の顔があったので思わず驚き 声を上げてしまう 「...うっ...うっぅん....???? アレ、わたしは...!?!ゆうすけ!?!? 貴方が何故ここに!?!歩無は!?!」 「何も言うな...凍花...とにかく 全て終わったんだよ...。 立てるか?」 鈴子は、気を使って自分で立てると 言い張り、悠助の背中から彼女を 助け出す前に自ら降りていた... 「えぇ...。」 差し出された手をしっかり ギュッと掴み取ると凍花は、彼の 胸の中に埋もれ...笑みをこぼす... 「お熱いのもイイけどさ、 早く、逃げないと...本当にヤバイよ!!」 「あなた...!!ーーーそうか私は...。」 「そうだな、話しは後だ歩けるな?」 その間にも城は崩壊の一途を辿ってゆく... 鈴子の一言で皆はその部屋を後にし、 遂に最初の扉を潜り抜け城から脱出した!!! 第114話 その手に…未来を 其の19 エピローグ 「そっ...そんなぁ...これじゃあ!!!」 『智哉』は、目の前の光景に我を 忘れ思わず叫んでいた... 「...そうか、私達はもう戻れない 道のりを乗り越えて...3人だけあの 城へ....入って行ったんだもね...。」 『夢麻』もそれを見てため息まじりに 誰に言うでもなく呟いた... 『ばぎょぎょぎょっっ!!!』 巨大な門まで崩壊は進んでいた... 彼らのすぐ真後ろまでーーーー 「....俺の“力”では、どうにも... くっ!?!ここまで来て!!!」 だが、彼らは既に脱出する術を 失っていたのだ... 「...はぁはぁはぁ...ふふっ.... 大丈夫よ....私がいるじゃない...。 元4柱神のこの『橘 凍花』が、ネッ?」 だが、そんな絶体絶命の窮地に 立たされた、その時!!! 徐(おもむろ)に凍花は、言い放ち 自身の持つ“ペルソナ”の空間を 断ち切る刃でーーーー 「...そうか、貴方なら!!!」 『ばじゅぅううぅぅっっ!!!』 その場を切り裂き、この世界からの 逃げ道、次元の亀裂を造り上げた!!! 「さぁ、みんな早くこの中に!!!」 「....凍花....またお前にこの 命...助けられたな...。」 「...貸しておくわ....だから、早く 空間に飛び込んで!!!」 凍花に急かされ、飛び込んだ空間の亀裂... 『どさっ...どさっどさっ!!!』 次の瞬間、乱雑に別の亀裂から 吐き出された場所はーーーー 「ここは?...学園に帰ってきたんだ!!! やった!!智哉!!私達ーーー!!!」 「...『横内』君...重い...。」 「あっ...すいません...。」 学園のあの最初に進入していった 図書室の外...廊下だった、そして 「...僕...なんだか懐かしいよ...夢麻...。」 「...また日々が戻って来たわ...。」 生還を喜ぶ夢麻達は不意に聞き覚えの ある声を持つ誰かに声を掛けられ 直ぐに後ろを振り返る... すると、そこにあったのはーーー 「よぉ!!遅かったじゃねぇ〜か!!!」 「あ〜!!!ユマ達〜〜〜っっ!!!」 「あっ!!『稲葉』君に...『アヤセ』!!!」 あの浮遊する岩場に取り残されていた 共に闘った仲間達の姿だった!! 「....みんな、良かった無事だったのね!!」 生徒達や更に稲葉達が無事だった事を 心から喜ぶ『鈴子』は、彼らの姿を見て 思わず身を乗り出した 「ふっ...本当、あんた先生に向いてるぜ。」 それを支える悠助は、呟く 「...夢麻....!!!」 「『深雪』!!!無事だったのね... 良かった...本当に良かった!!」 突然、飛びついて来た深雪は、 再び夢麻と出会え、更に智哉が 生きていた事に歓喜する!! 「でも、私がいるならともかく... なんで、あそこから脱出出来たのかしら?」 不意に凍花は疑問に思い質問する 「...ふっ、貴様の仲間を使ったまでだ。」 すると、騒ぎを聞きつけ他のメンバーも 姿を現す中で、稲葉らの代わりにいきなり 現れた『南条』がその問に答えた 「なるほどね...って事は、みんな...。」 「あははっ、あのヒト達っみ〜んな 一緒に『マキ』ちゃん達とここに 脱出したんだよ!!ねっ!『尚也』君!」 「....あぁ。」 微笑むマキの言葉を聞いて何故かホッとした 凍花は、窓から外の景色を眺め...空を 見上げた、すると青空が広がる中に吹く 一陣の風が彼女の頬を通り過ぎる... 「....ふふっ...もう、私に使命は 存在しない...彼女はあそこで ....死んだんだから。」 凍花は風を受け、清々しい気分に浸り ながら少女のような笑みをこぼした。 …世界は秩序を再び取り戻し、また未来を 歩み出す...新たな運命を紡ぐ様に… 続く!! |
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